道具のゆくえ
【 靴 】



@ 冬靴

Hans Wagner Lungcoffer(こんなスペルだったかな?)
当時の定価 \37,000. 也

3年ほど前、倉庫から探しだしたときは、全体に青カビが生え真っ青。 このまま履けばペニシリンのおかげで水虫が治るかも。
現役にカムバック後すぐソールが剥がれたり足首部分が破れたり。そのうちそこら中ボロボロで水漏れするようになり、ついには廃棄。
山の道具屋も昔に比べ少なくなり、新調するにも店探し。好日山荘はバブル期あちこちに出来てたが殆どが姿を消し、今池アルプスの流れをくむ店も駅前アルプスを残すのみ。 IBSも笹島から栄に移ったらしいが何処なのかよく解らない。
アルペン等の量販店には山靴なんて置いていない。 トレッキングシューズではつま先が曲がってスタンスには立てない。

御在所の帰りに[シャモニー]と云う店の看板を見つけ寄ってみた。
3-4万円覚悟していたが、在庫処分品なのかマインドルの山靴 \9,800. を薦められ即決。 今現在履いているが、すこぶる調子が良い。 良い買い物だった。

A 夏靴

Hans Wagner のクレッターシューズ
 (別名 革のキャラバンシューズ)

紺色のバックスキンで靴底に鉄のプレートが仕込んである。 軽さ、足首の自由度の割りに底が固く、数mmくらいのスタンスでもつま先で立っていられる。
一応革製なので雪渓もOK。但し濡らすと白い靴下が真っ青に染まる。
これもカムバック後すぐにソールが剥がれ廃棄処分。 今は夏冬兼用で前出のマインドルを履いている。


B 夏靴 その2

昔は靴が高かったのでアプローチやお稽古ではジョギングシューズやズックを履いていた。
足首の自由度が高くとても軽快だが、足首が浅いため急なスラブやチムニーの中で脱げてしまうのが難点。
\2,000. くらいと廉価なので履き潰しても苦にならない。 ハイキング再開時はこれでごまかしていたが、ぬかるみ× 雨×と制約が多すぎ今は履いていない。



【 靴屋のゆくえ 】


ソールの貼り替え

昔話ばかりで恐縮ですが、山靴ってよくソールの貼り替えをしたものです。
当時、葵町(名古屋市栄の東側)に修理専門の靴屋さんがあり、皆そこで貼り替えていたようです。
一足\5,000. と当時の物価からするとかなり高価でしたが靴を買い換えるよりはずっと安上がりでした。
夏冬履き分ける前は常に同じ靴の履きっぱなしだったので消耗が激しく、 貼り替えは当然でした。

夏冬履き分けるようになると、 冬靴は雪の上を歩くかアイゼンを履くかなので全く減りません。
夏も岩登りならクレッター、 歩くだけなら古いガリビエール、 アプローチはスニーカー。 と履き分けていたため余り減らなくなりました。

いつしか葵町の靴屋さんも忘れていましたが、 今履いている靴が毎週履きっぱなしで結構擦り減ってきた為、 古い記憶を辿りながら葵町の方へ行ってみました。 が、どこにあったのか今でもあるのか全く解りませんでした。

消費経済の世の中、 修理して履こうなんて人はもう居ないのでしょうか。 新しいものに買い替えるのも良いのですが、 折角自分の足に馴染んだものを捨て、 また最初から履き馴らすのは余り気が進みません。
山靴って履き馴らすのに結構 労力と時間が必要なんですよね。
昔、皆がよく履いていた Lowa のチベッタなんて堅牢過ぎて 「靴を足に合わせるというより足を靴に合わせるのだ。」なんて言う人もいました。 私の足は特異すぎてチベッタが履けなかったのでラングコッフェルにしたのです。 まるでラングのスキー靴みたいに。(ラングは足に合せ矯正して履くのが本当らしいが)

今度、御在所の帰りに【シャモニー】に寄って聞いてみよう。



【 そして今は… 】

2005.01月04日(火)

【シャモニー】で買ったマインドルの山靴もかなり履き込み、先日2回目のソールの張替えをした。一回目が2年ほど前('02年の年末)なので2年に一度の張替えペース。2回目の張替え時はつまさきがアイガメ部分まで擦り減っており、昔の靴なら張替え可能か微妙なところだった。
一回目の張替え時にハンスワグナーの靴を買い、これを冬靴としてマインドルは冬以外履きっぱなし。2年はよく持たせた方だと思う。張替えに約1万円かかるので、5千円/年、500円/月、100円/回ってところか。以外に高いもんだなあ。
ハンスワグナーの方は4万円もした。他の靴は足が入らなかった。私の変形足でも入るのはこれしかなかった。最近の国産靴は若い世代の足に合わせているのか細いものばかり。なんでドイツかイタリア製のものが履けて日本製が入らないのか?昔から山靴は欧州製しか履いていないので足がそうなってしまったとか… な訳ないか。
ハンスワグナーの冬靴は買った時は足入れが楽だったが、実際履いてみると足首部分のホールドが悪い。昔のラングコッフェルに比べ足首が浅く、ベロの開口部が広い。靴本体で足首を包んでいるのではなく、靴紐で押さえているようなイメージだ。
革自体もしっかりした裏出革ではなく、人造皮革のようなもので厚みも薄く冬用には心もとないが御在所程度なら充分か。革の貧弱な分を底から2cm程の幅でゴムで覆い強度を稼いでいる。クレッターのような感じと言えば解るだろうか。
このクラリーノみたいな革をヌバックとか言うらしい。
ローバ・チベッタとかラングコッフェルのような靴は材料供給面でもう作れないらしい。
ただ今の靴は殆どがゴアテックスを使い防水性は格段に良いらしい。
マインドルの方はまだ昔の裏出に近い。造りもしっかりしているし足首のホールドが良く余程高級感がある。特売の9,800円で買ったが2足買っておけば良かった。とても残念だ。

最近の靴は3-4万円していてもソールの張替えが出来ないものがあるそうで、カタログに張替え可能とか不可とか書いてあるようだ。
私の金銭感覚がずれ過ぎているのかもしれないが、折角履き慣らした靴を1-2年で捨ててしまうのか?と思うとそんなものにとても手を出す気になれない。

昔は夏冬兼用の人が多かった。(1足しか無い人が多かった。)だから夏でも重い山靴でアプローチ、縦走、岩登り全てこなしていた。
クレッターや縦走用を形態に合わせて履き替えられるのは恵まれた方だった。
今は岩登り用にインドアで使われるクライミングシューズを持って行く人がいるとか。
ビバークを伴うようなルートでもあんなきつい靴を履きっぱなしなのだろうか。きっと数時間で抜けられる短いルートで、それも雪や雨の無い時しか登らないのかもしれない。
山靴のソールが減るのを嫌いゲレンデではズックを履く人が多かったが、今のリッチな人達はゲレンデで高価なクライミングシューズを履いている。そんなもので登れても冬の本番では何の役にも立たないって考えないのだろうか。いや、冬場はそんなところへ行く気なぞ無いのかもしれない。


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