クレッターシューズのゆくえ



てんちゃんが高一の時の夏休み。
突然、「お父さん、剣へ行きたい!」
「よっしゃ よっしゃ、つれてっちゃる つれてっちゃる。」
一家で行くものと思い食料計画を立て始めるが、 お兄ちゃんの都合がつかず、 おっかーもお兄ちゃんに付き合って不参加。 2人だけなら贅沢して小屋泊まり。(山小屋って凄く高くなったんですね。私の記憶では1泊2-3千円だった筈。)
昔取った杵柄。 てんちゃんにかっこいいところを見せてやろうと画策。 岩登り用のクレッターで行くことにする。 幸いてんちゃんはこのボロ靴が岩登り専用だとは知らないようだ。 これなら堅い雪渓でもらくちょんだし、てんちゃんは運動靴。 道具の差は歴然。 きっとまた株を上げられる。ウッシッシ。

初日は室堂から立山の稜線ハイク。 朝は晴天だったのに大汝山辺りから小雨。 剣沢の雪渓を下り剱山荘に着いた頃にはザーザー降り。
翌日目覚めた時は星空。 ところが出発時には曇り。 途中から小雨。 こんな天気じゃあちこち寄ってボルダリングしようなんて気にはなれない。
てんちゃんは初めての岩稜歩き(それも濡れた岩場)にしては臆することもなくスイスイ登って行く。 蛙の子は蛙?
途中で足の異変に気付く。 なんかつま先が変だなと思っていたら、 ビブラムが剥がれかかってるじゃありませんか。
剥がれが進まないように、ごまかしごまかし登り、下りも踵で歩く。 雷鳥沢まで降ってくると土砂降りに。 これが決定打になり、足を上げる度にビブラムがベローンとべろを出す。 ぺったんぺったん格好悪いったらありゃしない。 立山駅の車に着いて草履に履き替えた時点で廃棄決定。

青春の思い出よ、さらば。


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