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さあ、やってみよう! MRP

1 まずは、準備から

【MRPってなんだ?】の項目では部品構成表を図や表で表したり在庫情報は全て 0 として概略説明しましたが、実際に処理をする場合、マスタファイルを登録しておきそれを使って処理を進める事になります。そのためサンプルのマスタを登録します。例として揚げるマスタ以外に実際に職場で必要なマスタを作り始める事をお勧めします。その方が理解を深める上でも有効かと思います。

INDEXの【ファイルの種類】に必要と思われるファイルとその項目を揚げてあります。
全ての項目を一度に登録しようとすると大変です。一度にまとめてやってしまってもかまいませんが必要に応じて徐々に登録していっても問題はありません。またマスタは生き物です。変更が発生するたびに更新が必要です。その点からも必要なものだけにとどめておく方が効率的かと思います。
サンプルファイルはINDEXの【ファイルの種類】(EXCELL)のファイル別シートに用意しました。実際に処理をする上で、MS EXCELL、ACCESS が必要です。お手持ちのPCにこれらのソフトウェアをインストールしておいてください。尚サンプルファイルは、EXCELL2000、ACCESS2000で作成しました。

1-1 ファイルの種類
サンプルファイルのシート【file_item】に必要となるマスタファイルと各マスタファイル毎の項目を一覧表として揚げてあります。

1-2 品目マスタ:シート【MFIT】
各品目毎の詳細内容を登録しておきます。

1-3 構成マスタ:シート【MFBM】
各品目の親子関係(1階層のみ)を登録しておきます。複数階層の構成もこの親子関係が組み合わされたものです。

1-4 在庫マスタ:シート【MFIV】
各品目毎の在庫情報です。

1-5 取引先マスタ:シート【MFCB】
各取引先の詳細内容を登録しておきます。

1-6 発注マスタ:シート【MFOR】
発注の詳細内容を登録しておきます。1オーダー1品目1納期とします。

1-7 仕掛ファイル:シート【MFSM】
中間品製造の為の1オーダーに必要な下位品目の品揃え状況です。

1-8 取引履歴ファイル:シート【MFHS】
各品目の入出庫履歴を記録しておきます。

以上が各マスタファイルの仕様です。実際のファイルはMS ACCESSのデータベースを使用します。
マスタセットアップはACCESSのフォームを使用して1件づつ入力でもかまいませんが、EXCELLで作成したものをインポートする方が簡単です。立ち上げ時はEXCELLからインポート、追加レコードはフォームから入力というのが一般的かと思います。


2 まずは、おためし

面倒くさい事は何もかもおいておき、サンプルデータを使ってやってみましょう。
INDEXの【TOOLなど】をクリックしてください。MS ACCESSの【MRPT.mdb】が開きます。
このテーブルには既にサンプルのデータベースがインポートしてあります。自社のデータベースに置換えたい時はこれをセーブしコピーを作成してそのテーブルに自社のマスタファイルをインポートしてください。
以降、このサンプルを使って説明して行きます。

2-1 作業環境
各マスタファイルの格納場所と所要量展開を行う場所とは同じでもかまいませんが、別フォルダに分けておいた方が後々都合が良いかと思います。
分けた場合、所要量展開を行う前にマスタファイルのデータをインポートします。(いちいちインポートが面倒ならMRP用ACCESSベータベースのテーブル作成時にマスタファイルデータベースのテーブルにリンクしておいても良いでしょう。)
インポートしたマスタファイルのデータを使って所要量展開を行います。
ここでの所要量展開後の結果は、簡易な方法で行っているため、ロット纏め、期間纏め、安全在庫、安全リードタイムは加味していません。
(一計画内の一レベル展開内で同一品目の所要量が複数回必要と計算された場合は最も早い納期に集約しています。これも処理を簡便にする為にそうさせて頂きました。)
この結果に従ってロット纏め等を加味して実際の発注数を決めてください。
また変更した発注数はその差異を計画数に反映して再度、所要量展開を行って下さい。(上位品目の発注数を増やせば当然下位品目の所要量も増えます。
作業を簡単にするにはVB,マクロ等を組合せてプログラムを作れば良いのでしょうが、その辺りは得意ではありませんので悪しからず。
しかし途中の手間をかける方がMRPそのものの理解を深めきめ細かな計画を立てる上では有効かと思います。作業を端折りたいならFMRPの導入をお勧めします。

2-2 所要量展開
1 MFIV,MFIT,MFBMをインポートする。

2 製造計画を立て、【計画.xls】を作成する。

3 クエリ【発注保留】をエクスポートし手配に反映したい品目を削除する。
発注保留したい品目とその有効残(負数)を【計画.xls】に品目追加し計画数の欄に貼り付ける。

4 【計画.xls】をインポートする。
この時点で所要量展開がなされ結果が、クエリ【Time Schedule】に作られる。

5 クエリ【Time Schedule】をエクスポートする。

6 品目別不足数を算出する。(在庫数-引当4+発注数)

7 不足数でソートし負数(不足するもの)の品目を抽出する。

8 不足品目を、計画数、所要数1、所要数2、所要数3、所要数4・・・の順でソートする。

9 所要日毎の有効残(在庫数-引当数+発注数-所要数n+追加発注数n)を算出する。

10 9項の有効残が負数にならないように追加発注数nを決める。
(ロット纏めもこの時行う。納期はその所要日-安全LTとする。)

注1

3項の発注保留は、設計変更等で手配を保留しておきたい時に使います。上位から引当がかかっているのに発注残が無いと有効残は負数となったままで、この時MRPを行うと発注するよう指示がでてしまいます。
これを防ぐ為有効残と同じ負数を計画に加えます。これで相殺し保留しておきます。

注2

5項でエクスポートした【Time Schedule】で【在庫数】【引当数】【発注数】は現時点での在庫マスタの状態です。
引当4はMRP実施後の引当数の合計です。納期毎の所要数に対する有効残が負数にならないよう発注数を決めてやればよい訳です。(詳細は 2-3項で説明します。)

注3

このACCESSプログラムでは構成の階層を4階層までとしています。必要に応じて階層を増やす事は可能ですが処理時間は指数関数的に増えます。


2-3 発注

2-2項で得られた結果の【Time_Schedule】を加工して納期毎の発注数を決めます。
【TS0】【TS1】を開いてみてください。
いずれも水色網掛け部分が【Time_Schedule】に追加したものです。納期毎の発注数とその時の有効残を追加しました。上位(納期は後)から展開するので下位(納期は前)の方が表の右側になっていますが、時間軸から見ると下位から在庫引当及び不足数発注をして行く事になります。
【TS0】は納期毎の発注数を決めていない状態(有効残負数が見られる)で、【TS1】は納期毎の所要数通りに発注数を決めた状態です。MRPシステムで出力される【オーダー勧告】に相当します。
当然、後日必要になるものは先に必要となる納期で発注しておいてもかまいません。纏め期間で数量纏めをするMRPシステムではこれを自動で行なっている訳です。
納期毎の有効残が0より大きくなるように、実際に発注数を入力してみてください。動きがよく解ると思います。

ここで決めた発注数と納期でオーダーを発注マスタに登録します。納期も可能であれば指定された納期より早くても構いません。逆に遅くするとどうなるかというと、計画そのものの納期が結果的に遅れる事になります。
発注マスタに新規登録したオーダーから注文書(社内工程なら出庫指示書及び製造指示書)を発行します。注文書送付により仕入先から納期回答を取っておき、それを発注マスタに入力しておきます。回答納期がこちらの指定納期より遅れる場合は、納期短縮の努力をしてもらうか、最悪発注をキャンセルして発注先を変える必要があります。
回答納期をマスタに登録する事は、後日の製造進捗、出庫進捗をモニターする上でも重要な事です。


2-4 発注マスタ、仕掛ファイルの作成、在庫マスタの更新

2-3項で決定した発注数、納期から発注マスタを作成します。(実際の運用では既に作られているオーダーに今回必要となったオーダーを追加することになります。)
ここでは【TS1】の内容に決定したものとしてそのオーダーを追加します。
【TS1】から【OD1】を作成します。それを使って発注マスタを作ります。
【MFDB】 を開いてください。ここでは既に【OD1】がインポートしてあります。品目マスタ【MFIT】の納期から開始日を算出し付け加えたものが【ODM】でそれを元に作成したオーダーを発注マスタ【MFOR】にレコード追加します。
【ODM】と構成マスタ【MFBM】から【SM1】を作成し、それを元に仕掛ファイル【MFSM】を作成します。
このファイルは出庫の進捗、製造の可否、仕掛在庫の棚卸などの用途に供され、非常に重要な役割を受持っています。何度も紹介しているFMRPのシステムにはこの概念が欠けているようで、そのため進捗状況把握、仕掛品棚卸の面がPoorなのだと思います。(現在は改善されているかもしれません。)
そして新たに追加されたオーダーを反映した発注マスタ【MFOR】から在庫マスタ【MFIV】の発注数、新たに追加されたオーダーを反映した仕掛ファイル【MFSM】から在庫マスタ【MFIV】の引当数を再計算し在庫マスタ【MFIV】を更新します。


つづく。            
2005年07月30日
19時55分00秒

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