道具のゆくえ
【 テント 】



@ ホソノのドーム L

買ったのは何年前かな? 5-6人用の底面六角形のドーム型です。
これは正直言って山行にはあまり使っていません。 合宿では会のテントですし個人山行では無用の長物。 もっぱらプライベートでのスキーの雪中泊に使っていました。
かみさんと一緒になり子供が生まれてからは、おりからのアウトドアブームにのってキャンプ場でよく使ったり、車での旅行で駐車場で張ったり・・・。
キャンプ場では大型テントに混じって小さなドームがポツン。 でも親子4人には充分な広さでした。
そうそう、一家で涸沢に行った時もこれを担ぎ上げました。
長年使っていた割りに大した傷みもなくまだまだ健在です。今は全く使っていませんが倉庫の中にしっかりと居座っています。


A ツェルト

メーカー不明。 これは本当によく使いました。 そして今でもいつもザックの底で待機しており、いざという時にはキッチリと役目を果してくれています。
かつての相棒との個人山行や単独行のころからいつも私を支えてくれていました。
もう30年も前のものなので、今の軽量・コンパクトなものと比べると、重い・かさばる・汚い・臭い の4拍子。 おまけにファスナーは壊れたまま(アルミが錆付いている)そこらじゅう穴(キャンドルの火で溶けた)があいている。の惨憺たる状態。
それでも、この1枚が外の風雪を遮断し私を守りつづけてくれたのです。
そろそろ引退勧告を発してもよい頃ですが、経済的な理由から定年を延長し続けています。



【 ツェルトの思い出 】


@ 御池岳耐寒訓練

山を始めて間もない頃、耐寒訓練の為に御池岳に行ったことがあります。 
この時はポールを持って行き雪原の中でテントとして使いました。寝袋を使わずに一夜を明かそうとしましたが、耐え切れずとうとう寝袋にもぐりこんで寝てしまいました。経験も少なくひとりで試行錯誤していた頃のことです。 
翌日登ってきたパーティと出くわした時、熊と間違えられた事だけが妙に強く記憶に残っています。


A 痩せ尾根でのビバーク

ある痩せ尾根上で時間切れ。小雨も降っていたかな。
多少傾斜はあるものの結構広いし、ビレイを取るほどでもないと思いツェルトを被って寝てしまいました。
ところが、何度も下にずり落ちるような感覚を覚えその度に目が覚めました。
目覚める度にビレイを取ろうかと思いながらまた寝てしまい、また目覚める、の繰返し。
そのうち異様に周りが明るくなったように思い、顔を出してみた。
既に雨は上がり星がいっぱい。
それより驚いたのは、真正面の遠くの尾根の上に雲があり、その雲の中がビカビカ光っている。 そして雲から数条の稲光が尾根に落ちるのが見える。
その光景はずっと続いていました。
別に恐怖を感じるでもなく、この世のものでないものを見ているような不思議な情景でした。
なぜかその光景が印象に残っていて、今でもふとした事で思い出します。


B 相棒と、我らが先輩のKさんと

3人で行った時の事です。
アプローチを終え、下部を登り終え、取り付き付近で早めにビバーク。
3人並んでテラスに腰を据えビレイを取る。行動食を摘みながら、終了後の祝杯用ワインを少しだけ頂く。とりとめのない話をしながら時間が過ぎてゆく。
真ん中に陣取った者は勤めでキャンドルを持つ。何時からか雨が降り出したようだ。キャンドルの火でツェルトの内側の濡れを乾かす。でも近づけ過ぎると、パッと穴が開く。するとそこから雨が入ってくる。補修にバンドエイドを貼る・・・

うつらうつら寝てるのかおきてるのか・・・。皆が皆、自分は寝てないと思っている。でも「鼾をかいて寝てたくせに。」と言われる。 
気のあう者同士だと一人とはまた違う楽しさがある。 ツェルトの中がとても暖かい。


C 大入り満員

このツェルトで4人が横になって寝たことがあります。 この時もポールを持って行き、テント仕様でした。 狭い所に4人も居るとポッカポカです。
皆寝入ってから「やけに横のヤツがくっ付いてくるな。」と思いながらも眠さに勝てず、うとうとしていると、一人が異変に気付き、「おい、埋まっちまうぞ!」
慌てて皆起き出し、テントの掘り起こし。後は1時間毎に外で雪かき。いたちごっこが明るくなるまで続いた。
翌日は狭い中で沈殿。暇にまかせてホットケーキを作ったり、葛湯を作ったり。
膝を抱えたり、あぐらをかいたり、足を伸ばして寛いだり。 狭いながらも楽しい我が家。


【 ポールのゆくえ 】


お兄ちゃんの小学校入学にあわせて名古屋市内から郊外に引越ししました。
庭ができ野良仕事もできるようになりました。
ある日庭の植木にアルミパイプの添え木がしてあるのに気付きました。
どうも見覚えがあるなあ。
だいぶたったある日やっと気付きました。
「あれ! これってツェルトのポールじゃん。」


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