欲しい物 PartU

欲しい物ができました。
かみさんにそれとなく話したら脈は有りそう。
でも[二つ返事で]とは行かないようだ。
お小遣いではちときつい。
無きゃあ無くてもかまわない。
気長に折衝して補正予算を組んで貰おう。



写真を始めた人って、どういう訳か最初に欲しがる交換レンズは望遠側です。
遠くの物を見たいと思うのは人間の本能なんですかねえ。
デジカメ流行りの現在、レンズ一体型の物でも10倍ズームとかテレ側倍率の高いものに興味を示す人が多いようです。
でも実際使う時、それが要求されるようなシチュエーションって滅多に無いんですよね。
見た物に感動しそれを他人に伝えたくて写真として残す訳ですが、その人が見た物ってその人の視野に限定されます。人間であれば誰でも同程度の視野で、ごく標準的な画角として標準レンズがある訳です。
人の目は良くできていて、必要なら非常に狭い範囲を凝視する事もできます。きっと獲物を狙う為とか、外敵を察知する為とか原始以来の淘汰の結果、身につけた機能かと思います。でもその狭い画角内だけで感動したり、或いは人にも見せてあげたいなんて思わないでしょう。せいぜい学術的か業務上の記録として残す為くらいだと思います。
また、景色を望遠で撮るほど馬鹿げた事は無いでしょう。余程空気が澄んでいたとしても、コントラストの低い、色合いも青っぽいものが画面いっぱいあるだけで、何の感動もありません。
実際35mm銀塩カメラでよく使われていた85mm〜105mmの望遠レンズは、ポートレート専用で客観的な画角と被写界深度の浅さが求められていたのです。
説明がくどくなりますが、標準画角ではワイドに近いブタ顔になるのでより平行光線に近い狭画角ですっきりスリムなおねえさんに映そうという意図と、おねえさんのおめめにピンを合わせ 鼻 唇はボケ初め、バックなぞ完全にぼかし見る人の目が背景に行かないようにする。この為に用意されたレンズです。当然絞りは開放、シャッター速度で露出を決める。フィルム感度はASA32のFを使う。(ASA→ISOでしたね。)

ポートレートの他によく撮られるのは風景とスナップ。どちらも人の標準的な視野(画角)で撮られます。
景色に感動してこれを残したいとよく思いますが、この時 人は最大視野で観ている事が多いようです。そう、150°近い画角で観ているのです。狭い山頂から観ている景色では後ろに下がる事はできません。狭い谷間でも下がる事はできません。
広い画角を得るには、広角レンズか繋ぎ合わせてパノラマにするかです。
使用頻度が多いのはテレ側よりワイド側かと思います。
初めてカメラを持って上高地に入った人は皆さん思う筈です。「景色が収まらない!」と。
デジカメの場合、画像処理ソフトが充実していてパノラマ合成が簡単に行えます。遠景と近景の位置ズレも画角調整で上手く合わせられます。多少のズレもぼかしでごまかしてくれます。
唯一カメラ側の問題で、写すターゲットの違いで露出や色相が変わる場合があり、合成してもぼかしは効いているのですが見苦しくなってしまいます。露出だけなら補正可能ですが、色相の違い(ホワイトバランスの違い)を補正するのは至難の技です。

これらのシチュエーション以外によく有るのがマクロ撮影です。凝視するものに近付いて標準画角で観ようとする人の行為をカメラにさせるものです。近くを見るために老眼鏡をかけるのと同じです。
でも老眼鏡の度が弱いとあまり近付けません。近付けないと被写体の画角は小さいままです。(大きく写りません)
小さなものを大きく観るためには撮影可能範囲が数cmまで寄れるものでなければなりません。
またマクロ撮影時に必須なのがマニュアルフォーカスです。最近のデジカメは全てオートフォーカスですが、マニュアルでピント合わせ出来るものが少ないように思います。オートではターゲットがあまりにも小さい場合、それにピントを合わせられず背景に合わせてしまう事が頻繁にあります。


今使っているデジカメもそれなりの役目は果してくれてます。発売当時の仕様としてはそれ相応のものだったと思っています。そして特に不満がある訳でもありません。もう暫く使い続けても特に不自由はしません。

でも・・・  知ってはいけないものを知ってしまったんです。

なにげなく写真サイトを見ていたら、Caplio G4wide というデジカメをを見つけてしまったんです。

カメラメーカーとしてはメジャーとは言いがたいリコー製。(でもオフィス機器ではけっしてマイナーではありません。)
35mmフィルムカメラ換算で焦点距離28mm相当のWide側からTele側85mm相当の3倍ズーム。丁度ワイドな風景向けからポートレート向けまでカバーしています。
ホワイトバランスも面倒なしで簡単に設定。(当然固定できる)これならパノラマ撮影時に色相が変わる事は無い。
マクロ撮影時ワイド側で1cm テレ側で4cmまで被写体に近付けるとの事。これならテントウムシでも画面いっぱいに写せそう。そしてカタログ上マニュアルフォーカスができるそうだ。マニュアルでピントを固定しておいてそこまで近付きパチリンコ。写した物のチェックは再生モードに切替えなくてもクイックレビューができるそうだ。そしてズームしてピンの確認ができる。
手ブレもこの時確認できる。

露出がマニュアル設定できないようだが露出だけならPC上で補正は簡単。最悪シャッター半押しでロックしておきターゲットまでパンしてから押切る。という方法も取れる。
それと前々から気になっていたデジカメ特有のレリーズタイムラグも世界最速0.14秒。140mSくらいなら我慢できるか。これならお兄ちゃんのスキー場での跳びまくりもバッチリだろう。なんたって滞空時間、1秒以上はたっぷりあるのだから。

なんだか以前番外編で書いたデジカメの不満を見て、僕の為だけに仕様を合わせてくれたみたいだ。
で、価格は?と通販サイトを見ると、名古屋にある【元祖でじかめ屋】という所で \24,800. だそうだ。
そして専用ケースが \500. 専用リチウムバッテリーと充電器のセットが \4,980. SDメモリもヤマダ電器より安い。
これなら僕のお小遣いでも手が届く。でも我慢する事も大事なのでもう暫く待とう。その内かみさんが補正予算を組んでくれるかもしれない。
そうこうしている内に、リコーさんが露出もマニュアル設定できるものを出してくれるかもしれない。
家は貧乏なので即購入は無理ですが、余裕のある人には絶対お勧めです。だいたい何をどう撮るか解ってない人が購入の大半を占め、メーカーもそのユーザー層に迎合しているので本当に必要とされている仕様の製品は非常に少ない。メーカーの利益追求の都合に振り回されているユーザー自身も情けない。
そういった点、さすがリコーさんですね。よくぞ作ってくれました。それなのに大手量販店が扱っていないというのは、やはり量販店もユーザーが求めているものなんて把握しておらず、ただ利幅の大きなものが売れれば良い。馬鹿な客をいいくるめて今儲かればば良いとでも思っているのだろう。だから一過性のブームで終わってしまうって事が解ってないのだろうか。
本当に良い仕様のものを薦めれば、買った人は本当の喜びを味わいその世界にのめり込んで行く。それが二次市場の創生に繋がって行く。ああそれなのに、それなのに…。

まあリコーさんも業界のイメージリーダーじゃないからこんないい物が創れるのかもしれない。
トップメーカーにはそれなりのしがらみがあってそれが足枷になっているのだろう。

因みにペンタプリズムを付けた一眼レフのデジカメがまだ世の中にあるようですが、あれこそメーカー都合の最たるものだと思います。そして35mm銀塩一眼レフの交換レンズが使えるとか。
それらハードウエア資産を持っている人がそれらを有効利用するためにはひとつの選択肢かもしれません。でもデジカメのフィルムに当たるCCDの外形は35mmもありません。いくら画素数を増やしても、ムーアの法則じゃないけれど、細密化のスピードの方が早くあんなでかい玉はいりません。でかい玉を後生大事に残すより思い切って軽薄短小に力を入れるべきです。ガラス玉が小さくなるのは、ボデイよりもよりインパクトがあります。
そして何故機械式一眼レフに拘るのでしょう。これは電子技術で置き換える事が出来なかった半世紀も前に視差をなくす為に考え出された方法です。ペンタプリズムもやはりガラスです。重い!
ファインダーで見たまま写す。撮影の為に通る光と同じ経路の光で測光する。こんなことは今の電子技術では簡単な事です。コストはマテリアルの量に比例します。(重さと相関します)ファインダー内に面積は小さくてもXGAクラスのモニタを表示しそこにいろんな設定値をリードアウトするとどうでしょう。当然今裏面に着けている2インチ弱のLCDは廃止します。あんなもの外光の下ではまともに使えた事はありません。これが無くなれば大幅にコストダウンできます。
これでペンタプリズム無しで視差も皆無にできます。そして軽量コンパクトな超精密機器としてのカメラの新しい歴史が始まります。

銀塩カメラ自体が無くなる事は無いと思いますが、業務用、学術用に限定され非常に高価なものしか残らないでしょう。
暗室作業はそれなりの楽しみもありましたが利便性を優先するとやはりデジカメに収束するのでしょう。引伸ばしやプリント時の、テクニック セオリーも必要ないのは、昔やっていた人間には少々寂しいですが、それらを補って余りある利便性を手に入れた事のほうがやはり大きいと言わざるを得ません。
この辺の展望についてメーカーの方が熟知している筈です。やはり自分達の利益を守りつつ軟着陸点を模索しながら業界編成にかかっているのでしょう。



kitunosukeのページtanuoのページ