Because it is there!


20060118

昨日は久しぶりに東京出張。
今の職種に移ってから殆ど出張もせずに済んでいたが、たまには出張も良いものだ。
9:04 名古屋発の【のぞみ】に乗る。
朝から素晴らしい晴天で、おまけにここ暫らく気温も高く最高の旅行日和だ。
客先訪問も昼からで時間的余裕もたっぷり。じゃあそれまでのんびりと列車の旅を味わいましょう。一昔前の出張が多かった頃は、風の熱を推して自由席で立ちんぼ。なんて事もあった。あの頃から比べると極楽極楽。
座席はほぼ満席に近く、指定席は**D。2人席の通路側である。窓側には年配の男性が既に座っている。ブラインドを半ば下ろしており外の景色が見辛い。北側席なので陽が当っている訳でもないが、全開だと寒いのだろうか。「ブラインドを上げてください。」と言えない気の弱さが恨めしい。
席に着くと同時にTEL着信。話を聞き切ったところにメール着信。「う〜、鬱陶しい。」
でも列車が動き始めてしまえばこちらのもの。TELだって通じないんだから。景色を楽しもうが眠ってしまおうが、烏の勝手でしょ。
動き出し、メールを読み終え、さて切ろうと画面を見るとアンテナの棒がいっぱい立っている。
「ええ〜、繋がるの?」半信半疑ながらTELをかけてみるとうまく繋がらない。いくら高速ハンドオーバーしてるって言っても200km/h超えのスピードでは中継局の切り替えが上手くいかないようだ。ただ中継局の圏内が連続しているのでアンテナ表示だけは出ているようだ。
なにもかも忘れのんびり寛ぐことにする。
横の人越しに車窓の景色を楽しむ。僕ってやはりビジュアルなものが好きなんだなあ。文字を見ているより絵や景色を見ている方が好き。絵や景色は直感的に訴えてくる。文字は文章からその内容に変換しなければならない。視覚的にもちっとも楽しくない。
豊橋が近付くと本宮山が遠くに見える。なだらかな山並みだ。
やがて浜名湖。静かな湖面に白砂青松、カラフルな建造物、湖水の藍と山並みの緑と空のブルー。
「自然の景色は綺麗だが人工物は目障りだ。」とのたまうエコロジストが多いが、私には理解し難い。人口的な建造物も私の目には充分に綺麗である。視覚に訴えてくるもの全てが綺麗である。色だけでなくその形も充分に美しい。誰かが言った事をそのまま鵜呑みにして鸚鵡返ししている、脳味噌のないエコロジストの感性を疑いたくなる。このような人達は本当に自然の美しさが理解できているのだろうか? あっ、また脱線しちゃった。

浜松を過ぎるとなだらかな山並み。この奥には日本の屋根(南ア)が連なっているのである。
大井川を過ぎる。この川も南アを水源としているのである。静岡を過ぎると暫らくうねうねとした山裾を走る。点々と芋虫が並んでいるような茶畑が山肌に張り付いている。この形がまた面白い。
起伏のある山々。これもまた私の本能をくすぐる。あそこへ行って見たい。歩いてみたい。車で走ってみたい…。
犬を広いところで放してやると喜んで走り回ります。これと同じように人間も広いところでは走り回りたくなり、起伏に富んだ山間部では歩き回りたい、あの上に上がりたい。と思います。
砂山があると子供は必ず登ります。これも本能のなせる業でしょうか。
富士川を過ぎるとやがて広大な裾野のせり上がりの上に真っ白の富士山。
「でっ、でけえ!」「きっ、綺麗!」なんど見ても富士山は感動します。それに今日は天気も良くことのほか綺麗です。「あっ、歩き回りたい!」
これら人間の本能を刺激する対象物(山)が無ければそこに行きたいなんて思いません。
あるから行きたくなるのです。
"Because it is there!" 「そこに山があるから。」と翻訳された言葉が有名ですが、マロリーのこの言葉、言い得て妙。と思いませんか。


2006年01月18日


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