ドラッカー博士逝く


20051112

2日遅れの誕生祝い、二人で出かける外食へ。

帰宅後浴槽を洗いお湯をはるまでの間夕刊に目を通す。
「んっ!」 三面記事にペーター・F・ドラッカー博士の訃報。享年95歳、老衰。
知らない人は全くもって知らないだろうが、知っている人にはとんでもない影響を与え続けた巨人である。中日新聞のような一般紙が訃報として掲載する事も驚きであった。
私が尊敬している数ある人々の中でも他に例を見ない異質な存在である。一般的には経済学者のように思われている節もあるが、私が思うには歴史学者である。そして普通の歴史学者のように過去の歴史に理屈をこじつけているのではなく、今現在の世の中の流れ、そしてなるべくしてなるであろう未来をも明言しているのである。
ウォール街のエコノミスト、アナリスト達も結局はドラッカー博士の唱えたものを復唱していただけに過ぎない。
同じものを見、聞いていても、博士の目には我々凡人では及びもつかない事柄が映るのである。深い洞察力と鋭い分析力で世の中の流れを見つめていたのである。
ビジネス誌、論文など、博士の著述からの引用のなんと多いことか。
老いても生涯現役を通し、ボケとは全く無縁の人でした。たまにTVの特別番組などに登場する事もありましたが、アジアの片田舎で起こった些細な出来事でさえも知っており、その情報量の豊富さ、正確さ、そして洞察の深さにいつも驚かされていたものです。
その巨人もまた消えて行きました。この後世界はどう動いて行くのでしょう。次なる賢者が現れる様子も見当たりません。愚か者ばかりが政治、経済の世界で目立つ昨今、本来あるべき姿を示唆してくれる賢者はもう現れないのかも知れません。
まあいいか、僕もそう長生きする訳ではないし。後の事なんか知った事じゃあないし…。


2005年11月12日


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