年に一度は御嶽山


麗らかな日溜まり、時折頬を撫ぜる涼風。
あの災害の日もこんな穏やかな日だったんですね。
コンビニオニギリを頂きながらのんびりゆったり。
あまり急いで降りても蕎麦屋はまだやっていませんし。
しっかり寛いだ後、おもむろに下山開始。



20220925

本日は午前6時に田ノ原集合との事。下山後の目的である蕎麦屋が営業終了する前に滑り込む為に、早出早帰りを画策しているようです。
目覚ましを2時半にセットし早めに就寝。早く寝なくっちゃと思いながらもなかなか寝付けません。うつらうつらしながら目覚める度に時計を見ています。なんだかベッドの上でビバークしているような気分。それでも身体と頭を休めているだけで結構睡眠は取れているものです。
何度目かに目覚めた時の時刻が2時10分頃。もう起きちゃうか。皆さん早いでしょうからお待たせするのも何ですし。
と言う訳で準備をして自宅を出る事 2:35 a.m.
週末の台風の影響で延期かと思っていましたが土日ともピーカンの晴天との事。本日日曜は日本晴れが期待できそう。
順調にやって来ましたが王滝村から登りにかかると濃い霧が出ています。「あらら、お山は霧の中か?」
スキー場までやって来るとガスが消え御嶽山がドカンと聳えています。「ガスは下だけだったのか。」
見晴らしの良い所まで来ると雲海の向こうに中央アルプスのシルエットが。やはり今日は凄く良い天気。


5:30 a.m. 田ノ原着。
駐車場奥社務所近くにIさんの車。前日発でまだお休みのようです。車を横に停め先ずはトイレへ。
「あれっ、トイレが無い!」最奥の駐車場は車止めで塞がれていますが、その中に立派な建築物が。近付くとトイレです。なんとまあ立派なトイレです事。
大昔、この位置にコンクリート造りのトイレがありましたが、スキーシーズンだと入口が雪で塞がれてしまい、雪の山を登り天井との隙間から中に入っていた事を思い出しました。それが今はこんな立派なトイレに変身しちゃって。冬でも自動ドア動くんかしら?
まるでホテルのような立派なトイレで御用達。あまりにも立派過ぎてケツの穴が委縮しちゃって出るものが出て来ん。諦めて腹膨るる想いのまま外に出ます。
丁度T尾さんも到着しモルゲンロートに染まった御嶽山を撮っているところ。私もカメラを持ち出しパチパチ。


6:10 a.m. でっぱつ。
時々ガスが湧きますが直ぐに消えてしまいます。朝日に輝く御嶽山目指し歩き始めます。
紅葉には少し早いですが、中には色付いているのもあります。

亜高山独特の香りを楽しみながら歩を進めます。これはどうやら針葉樹から発せられる香りのようです。
足元には色の消えたキリンソウの残骸、芯が黒く変色したヤマハハコなどが残っています。お盆の頃に咲き誇っていたものの名残でしょう。そんな中に混じって早くもシラタマノキに白玉が付いています。コケモモに真っ赤な実が付いています。秋ですねえ。

6:55 a.m. 赤禿げ着。
真新しい看板にはカナで【アカッパゲ】。音声重視の表現に切り替えたのでしょうか。大昔はたしか【赤禿げ】と漢字表記だったように思います。
休憩がてら振り返ると中央アルプスのシルエットの向こうに南アルプスも覗いています。あれは甲斐駒ですね。


7:15 a.m. 7合目の檻に入ったお地蔵さん。
ここまで来ると樹林限界も越え一気に展望が広がります。
田ノ原がもうあんなに下の方に。そして前方には王滝頂上が。


8:10 a.m. 富士見岩の下。
T尾さんが富士山が見えると言います。今日の天気なら見えるでしょうがあれがそうかな?
三ノ沢岳の右、桧尾の辺りに左斜面は見えますが右斜面が見えず典型的な台形の姿は確認できません。

8:15 a.m. 富士見岩辺り。
T尾さんが言っていた富士山らしきものがどんどんせり上がり典型的な台形が確認できます。紛れもない富士山でした。


8:20 a.m. 一口水着。

時折吹く涼風に爽やかさは感じるもののこのピーカンの晴天、後頭部をジリジリ焼かれながらの登高、日頃の不摂生になかなか足が上がりません。ヒーハー言いながら皆さんの後を追いながら行きます。あ〜、しんどい。
そして景色はちっとも変わりません。早く大覗きで違った景色を観た〜い。

8:30 a.m. 大覗き着。

対岸の尾根の向こうに浅間山、その手前に美ヶ原の高原が広がっています。そのずっと右には蓼科山から八ヶ岳。ホントよく見えます。
そのまま登り続けるとところどころに草紅葉。

いよいよ王滝頂上。その前にパトロールの人がずっと立ちっぱなしで我々登山者を見守っています。
挨拶ついでに立ち話。そう言えば昨年もパトロールが見守ってくれてましたねえ。

9:00 a.m. 王滝頂上着。
社で参拝。今年もおめもじ叶いました。
相変わらず防風壁出口はテープで閉鎖されています。ここから剣ヶ峰にも二礼二拝一礼。

社の外へ出て南側から地獄谷方面に目を遣ります。
草木一本無い剣ヶ峰からの尾根の向こうに岩と緑の継母岳。その遥か向こうに白山。

麗らかな日溜まり、時折頬を撫ぜる涼風。あの災害の日もこんな穏やかな日だったんですね。
コンビニオニギリを頂きながらのんびりゆったり。あまり急いで降りても蕎麦屋はまだやっていませんし。
しっかり寛いだ後、おもむろに下山開始。

降りは皆さん速いです。なにも走らんでも良いのに。
あっちゅうまに大覗き、一口水、富士見岩を通過して行きます。
富士見岩で富士山も見納め。ここからの富士山の位置をしっかりと記憶しておきまた降り始めます。

10:20 a.m. 7合目の檻に入ったお地蔵さんで小休止。
ついでにコケモモでも撮っておきましょ。草臥れたヤマハハコに混じってまだ草臥れていないのもあります。

シラタマの開いているのがあるとIお母さん。ひっくり返すと白玉が花弁のように5烈しています。今まで実だと思っていた白玉は花だったの?(翌日調べたらやはり実でした。花はもっと小さくドウダンのような形です。)

降りかけると皆さん立ち止まって這松の中を覗き込んでいます。雷鳥が居るとか。目を凝らすと確かに居ます。足はもう冬毛に変わり真っ白です。少し小振りなのと鶏冠も無いので今年生まれた若鳥かもしれません。皆がクククッっと呼びかけると近付いて来ます。途中でそっぽを向いて上の方から登山道へ。そのまま駆け上がって行きます。その足の速い事! 人を警戒するでもなく全く無視して自在に動く様は長年登山者が大事に接してきたおかげでしょう。

雷鳥と別れを告げまた降り始めまると直ぐに赤禿げ。ここからの景色も見納め。
上の方の黄色い草地がもう直ぐ赤い草紅葉に変わるのでしょう。ぼちぼち現れ始めたダケカンバもまだ色付きかけ。

途中、遥拝所に寄りお参り。傍らのナナカマドもまだこれから本格的に色付くところでしょう。

最後の最後に湿原北端の展望台へ。いつも素通りしていますがここからの景色も圧巻です。紅葉シーズンは本当に綺麗なのですが、今日は残念ながら・・・。

11:35 a.m. 登山口大鳥居着。

降りて来ました。皆様お疲れさまでした。
片付けものを済ませ一路蕎麦屋【さくら】へ。
久しぶりの更科蕎麦。かき揚げを付けて頂きます。仄かな甘みとコリコリ感が良いですね。う〜ん、食べたら今度は田舎蕎麦の力強い蕎麦の香りが恋しくなっちゃいました。木曽福島の【くるまや】は早仕舞いなので間に合わないでしょうから、次は大桑の御嶽食堂にでも寄ってみるかな?
食べ終えて出ると「営業終了」の看板が。時間的に余裕だと思っていたらもう少し遅れたら食い逸れるところでした。やはり今日は早出早帰りが正解でした。

2022年09月26日13時40分00秒 記



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