|
もう6月。時間の止まった老人を置き去りにして、季節はマイペースで過ぎて行きます。じゃあそれに追いつくべく老人も動きを速めます。 目覚ましセットも午前4時のまんま、老人は早起きも苦になりません。早く出ないと駐車場に停められませんから。 6:15 a.m. 中道駐車場着。 スカイライン側は既に満車。溢れた車が駐車場から出て行きます。一方こちらはまだ数台。所定の位置に停め仕度にかかります。 今日は暑くなると聞いていましたが、空は曇りがち。山頂付近は雲がかかっています。こりゃ暑くなくていいや。 小屋まで降り皆さんと合流、再度駐車場経由で中道へ向かいます。 スカイライン沿いには卯の花。先週のタニウツギと交代しています。残念ながらホトトギスの声は未だ聞こえず。 久々の中道、以前と様子が変わっていて面白いです。冬枯れから若葉が吹き出し、それが落ち着き今は徐々に深緑に移り変わり始める時。とは言えまだまだ瑞々しい新緑が幅を利かせ山肌が輝いています。 マンサクも今は完全に花が落ち若葉に入れ替わっています。初々しいガンピの新芽が伸びその先には蕾が付いています。 あちこちにコシアブラの発芽が見られ、根を傷めずに採取出来るなら持ち帰りたい欲求に捕らわれますが、こういったものはやはり山野に在るものから多少の恵みを頂くのが原則。持ち帰っても根付く保証もありません。 オオバノトンボソウの新しい株がかなり増えています。自然は逞しい! 下手に人手をかけない方が多様性豊かなものになるのでしょう。 木々の新芽も眩しいくらい鮮やかです。遠目には解り辛いですがこうやって間近に見ると一目瞭然。 7:45 a.m. キレットの手前の岩峰で小休止。 鎌ヶ岳も冬枯れ色から一転、春色と言うより初夏の装い。 キレットからの登り返し、風の陰に入り木漏れ日を浴びながら行きます。ホント爽やか! 梯子場の上の岩塔からその上のコブシを偵察。そこそこの開花が見られたにも拘わらず結実があまり見られません。まだ小さ過ぎて目立たないのかも。夏から秋にかけてブツブツの握り拳が見られる事を楽しみにしていましょう。 その上のイチヨウランは既に枯れ果て。先々週開花を確認したそうですが、そりゃ2週間も経てば終えていて当然。 北谷テラスで小休止。 ここのマンサク、今年は一輪も咲きませんでしたが新しい葉っぱは出ています。枯死してしまった訳では無さそうです。厳しい環境ですから元気いっぱいって訳には行かないでしょうが命を繋ぎ続けて欲しいです。そしてまた来春には花をつけて欲しいですね。 北谷を挟んで正面の国見尾根を見ながらT尾さんが「望湖台からスキー場を降って国見峠、国見尾根ダイレクトで降りよう。」と言います。 北谷へ降りてしまうと中道へのトラバースルートを登る事になります。「お母さん、体力がなかったらスカイラインで。」と続けるとお母さんも「トラバースで中道に抜けます。」 ゲゲッ、私だけ「スカイライン。」と言うのも憚られます。しんどそう。登れるかな? しかし国見岳なんて本当に久しぶりです。かみさんの入院が2014年、それ以降は行ってない筈ですから少なくとも8年は行っていません。 降りのルートが決まったところで掘割道を行きます。相変わらず木漏れ日が射す道を行きます。あ〜、気持ちが良い。 直ぐにタツナミソウの自生地を通りますがここはまだ蕾。かなり前からタツナミソウの開花は見ていたので意外でした。日陰だし他所に比べ気温も低いのでしょう。 岩稜帯を過ぎ上のテラスの下までトラバッて来ると眼前にサラサドウダン。よく咲いています。先週も観ていますが、まだスカートが広がり切っていませんでした。本日ここのは完全に開き膨らんでいます。色も鮮やか、青空によく映えます。透過光に若緑の葉が輝き葉脈までがはっきり透けて見えます。 テラスから上も見上げればベニドウダン、足元にはイワカガミが咲き目を楽しませてくれます。 8:50 a.m. 富士見岩着。 まさに若葉萌え立つ季節。First of May(若葉の頃)ならぬ First of June です。 何の事か解んないだろうなあ。 9:00 a.m. 朝陽台着。 サラサが満開。枝もたわわに花がびっしり。背景の青空には早々と秋のすじ雲。 大休止の後遊歩道を望湖台へ。 あっ、アサギマダラ発見。 フジバカマ、ヒヨドリバナが無いのでサラサドウダンの蜜で我慢しています。 遊歩道沿いにはベニ、サラサのドウダン類、ヤマツツジ、そして鮮やかな若緑の新葉が輝いています。 9:45 a.m. 望湖台着。 最西端から西側を見下ろします。あちらこちらに白い点がかたまって見えます。朴の花です。朴の花も次から次へと咲き続けるので花期は長いです。 その後スキー場へ。 多くの人がゲレンデ内を歩いています。芝生に寝転び寛いでいる家族連れも。あちこち鹿のウンチが落ちているので気を付けないと。 国見峠西側の大岩辺りへ落ちているルンゼ沿いに降るのですが、その両側の草付きにはっきりとした踏み跡が出来ています。ペナントもあり今では完全な登山道となっているようです。本来ならばルンゼ東側のなだらかな尾根筋の中に木を伐採して作った登山道があったのですが、草茫々で誰も使わずいつの間にか道が消えてしまいました。国見のテラスから見るとその痕跡がはっきりと見る事ができます。 登山道も生き物。人が踏めば道となり、踏まなきゃ自然に消えて行きます。 大岩の上でのんびりするのも魅力的ですが、今日はパス。もう充分休憩を取っていますから。従ってそのまま国見峠へ。 国見峠からは草叢の中を顕著な踏み跡が延びています。ふと右手を見ると深く抉れた昔の道が見えます。ここもいつの間にか歩き易い平坦な所に新たな道が出来てしまったようです。今のように大勢の人が続けて踏んでいれば新しい道が出来るのも早いようです。と言うか、8年も経てばかなり変わって当然ですね。 明るい樹間を行きます。本当に新緑が綺麗です。 国見岳のテラスの岩の上では日射しが強くて耐えられないので樹林帯に入ったところで小休止。やはり日陰が恋しい季節です。 石門の上から雨乞岳を仰ぎ国見岳山頂へ。山頂の岩の上で辺りを見回します。そうだ国見尾根では天狗岩、揺るぎ岩にも挨拶してこよう。 分岐まで引き返し国見尾根へ。ん?意外に急な降りです。国見尾根ってこんなに急だったっけ? セオリー通り天狗岩、揺るぎ岩にご挨拶。双方とも末端に立つとケツの穴がこそばゆくなります。「あ〜、カ・イ・カ・ン。」 後はひたすら降るのみ。界の岩に挨拶して・・・ 膝がガクガク笑い始めます。いい加減草臥れた頃不動沢の音が聞こえてきました。「あっ、もう直ぐだ。」 不動沢と北谷の出合に飛び出します。もう藤内小屋は目の前。 11:40 a.m. 小屋の前で休憩。 流される前とはかなり様子が違っているのでしょうが、現役の頃とそう変わっていない様にも見えます。 モンベルの小屋も流されてから再建したものと思われますが、位置関係は昔と同じ。現役の頃一度だけ入った事があります。会のボスがその親分格の人達が来ているとの事で珍しく来ていたのでした。尤も目的は登る事より飲む事。我々は挨拶だけしてそのまま夜の前尾根を一本。満月で明るくラテ無しで登ったのを思い出します。尤もこの頃はどこにボルトが打ってあるか、どこにどのようなスタンスがあるか全て暗記していましたから月明かりが無くても昼間同様に動けました。ん? ジジイの昔話? さてこの後が最後の核心部。裏道を暫く降り分岐から中道へ。峠の直下がきついんですわ〜。 そのきつい所にギンリョウソウ。一瞬心が和みます。 トラバース道から中道に抜けてスカイラインへ。朝と違い明るいライティングに卯の花が輝いています。なのに聞こえるのはカッコウの声のみ。 一旦小屋に戻りお母さんお手製の茨餅のお相伴に与ります。 甘い餡子に疲労が解けて行きます。 そしてまた車へ。 13:15 車に帰着。 さあ後は温泉一直線。お山は凄い人出でしたがロープウェイへの車は少ないようでノンストップでかもしか大橋へ。 お陰様でスムーズに温泉に入れました。 |
2022年06月05日15時30分00秒 記
|