春のお花見Hike
(40年ぶりの藤原岳)



降り積もった枯葉の中にフクジュソウが。
皆蕾か半開きでそれも開き具合が歪なものばかりですが、
これが野に咲く山野草の宿命。形を貶したもうな。
風雪に耐えやっと開きかけたその健気さを愛でて賜うせ。



20210314

伊吹山から3週間、お誘いがあり藤原孫太尾根。すっかりMonthlyが定着してしまいました。
孫太尾根と言うと49年度版アルペンガイドによるとほぼ廃道化していたはず。コースタイムもかなり長く、再開した頃のnet記事では車をデポって入山口と下山口を分けていたような。当然踏み跡も朧なマイナールートだと思い込んでいました。
集合場所が孫太尾根末端の墓地、時刻が6時との事なので長時間の登行が推測できます。「きっと1台を西藤原辺りにデポってくれるんだろうな。」なんて思っていました。
未明ナビに従って走ります。半世紀前の記憶など全く残っていませんし役にも立ちません。ナビ通りに行くと目的地近くで狭い山道に差し掛かり、真っ暗な中、鋭角カーブを曲がる事に。脱輪に気を付けて切り返しやっとの思いで到着。
既に5−6台の車が停まっており、後数台の余裕しかありません。「マイナーだと思っていたのに結構人気ルートなんだな。」
時刻は5時半。まだ真っ暗。車の中で靴を履こうとしていたらIさんT尾さんも到着。「えっ、ピストン?」
集合時刻が早いのは駐車地確保の為、今では孫太尾根は大貝戸道よりメジャーになっているそうで皆さんピストンが普通だとか。
こちらの方が花も多いそうですからね。

6:00 a.m. でっぱつ。
墓地の奥から植林帯に入って行きます。道は綺麗に整備されています。Iさんの話では昨年綺麗に整備されたそうです。丸太の土留めの階段がずっと続いていますが、粘土質の斜面のままなら登行も大変だった事でしょう。
小一時間ほど登ると真横から朝陽が射し出しました。赤い光に満開の馬酔木が輝きます。「ん? まだ3月半ば。いかに高度が低いからってちょっと早すぎない?」

やがて傾斜が緩くなると植林帯が切れ左側に青川の谷が見下ろせるようになります。対岸の山がデカイ。治田峠、主稜線はまだ見えません。
暗い樹林が切れ、カルスト地形特有の石灰岩剥き出しの斜面を登ります。ここも階段状に整備され廃道とは程遠い街中公園のようです。

7:05 a.m. 石灰岩地の小ピーク着。
ここを丸山と言うそうです。丸山って言うとつい八方の丸山ゲレンデを連想してしまいます。あの辺りは丸山姓が多い所でもあります。
そしてここが花の群落地でもあるそうです。石灰岩の間からまるで雑草のようにセツブンソウが咲き乱れています。

形が悪いのは山野草の宿命。風雨に晒されていては園芸種のような温室育ちにはなかなかなれません。
形が良いのを探し、撮影の為に屈むと貴重な植物を踏んでいるのに気付きます。「足の踏み場もあらへんやん。」
暫く撮影大会を楽しんだ後、先へ進みます。稜線の北東側斜面に沿って進みますが、ここの斜面も花盛り。ミスミソウ、セリバオウレン等がいっぱい。残念ながらミスミソウは蕾か半開きばかり。まだ日が射し始めたばかりなので帰りには満開になっているでしょう。

もう暫く行くと開き具合が良くなってきました。中にはピンクのミスミソウも。

この花街道が尽きると平らなコバに出ます。標識があり、我々が辿ったのはトラバース道だとか。上の稜線上を辿る道もあったようですが、断然花街道の方が楽しめます。但し花に見惚れてコースタイムは長くなります。
そこから先は日当たりの良い整備された道。「こんなもん廃道の訳ないやろ。」と言いたくなるほどの歩き易い道。迷う事もルートファインディングも斥候を出す事も全くない道。但し花の気配も全く無くなってしまいました。
登りついたピークが草木とか。葉を落とした裸の木はありましたが草は全くなし。なのに草木とはこれ如何に。いや、昔は草木に覆われ行く手を阻まれていたのかもしれません。
ピークを過ぎ少し降るとトラバース道との合流点。そう言えば登りの手前にトラバース道への標識もありましたわ。帰りはこっちですね。
ここから少し降りまた登りに差し掛かります。こう言った鈴鹿独特の尾根道ってなんとなく気が和みますねえ。但し真正面には藤原南面が壁のようにそそり立っています。「やれやれあれを登るんかい。」と思いますがご安心あれ。所詮鈴鹿、見た目ほど大きくはありません。一歩一歩登って行けば意外に早く着くものです。
疎林の中フリクションを確かめながら歩を進めて行くとだんだん泥濘地の急斜となって行きます。と同時に降り積もった枯葉の中にフクジュソウが。皆蕾か半開きでそれも開き具合が歪なものばかりですが、これが野に咲く山野草の宿命。形を貶したもうな。風雪に耐えやっと開きかけたその健気さを愛でて賜うせ。
粘土土の上には今朝降ったであろう霰状の雪が散見できます。寒い筈だわ。
数多とある半開きの中、よく見ると形良く開いているものもあります。泥濘斜面を気遣いながらトラバッて撮影に四苦八苦。

綺麗なのを撮った後は泥濘斜面を避け東側リッジの石灰岩帯へ。

そうか、こんな景色だったんだ〜。最後に来たのは岩登りに明け暮れていた頃、相棒と「偶には歩いてみようか。」と来たのが最後。まだ30才前、28か29の頃。確か秋で一面薄の原だったよなあ。ん?当時は孫太尾根北東斜面にはあんな採石場はなかったぞ。40年も経てば多少変わって当然ですね。
斜面を登り切って展望丘へ。えっ、展望台の看板。昔は展望丘と呼ばれていたのになあ。

風を避け東側の一段下った所で小休止。昔を偲びながら燃料補給。


10:00 a.m. でっぱつ。また孫太尾根から。降りと言っても登り返しもあるんだよなあ。でも帰りには半開きだった花達もきっと満開になっている事でしょう。
降りは石灰岩のリッジから。ソールに泥が付き滑る事滑る事。だから藤原って嫌い。やっぱりフリクションの効く花崗岩の御在所が好き。
暫く降ると岩の隙間に可愛い子発見。ここは日当たりも良いし風の陰だからね〜。

日当たりの良い疎林帯へ。地面は枯葉を纏って乾いています。スリップも気にせず自然に加速して半ば駆け足で降って行きます。登りでもこのルートの人が多い事に驚かされていましたが、降りではその多さがもっと解ります。行けども行けども登りの人の切れる事がありません。一体どれだけの人が来てるのやら。それより車止めるとこ在ったのかな?
これなら聖宝寺道、大貝戸道よりメジャーってのも納得ですな。そう言えば登りもゆっくりペースの割に4時間足らずだったし。
日当たりの良い暖かな尾根道を降ります。途中でヒロハノアマナが咲いているのを発見。登りで気付きませんでしたが蕾は有ったのですね。

その先でもミスミソウが開いているのを発見。帰り道が期待できます。

草木を巻き朝のトラバース道の花街道へ。
目星を付けていた蕾が見つかりません。ここじゃなかったのか? スプリングエフェメラルじゃなくてモーニングエフェメラル?
目を凝らしながら行くととうとう発見。「うん、ここや、ここや。」

丸山のセツブンソウ畑、セツブンソウに交じってヒロハノアマナも咲いています。今朝は蕾にも気付かなかったのに。

ホント孫太尾根って花が多いです。人気が高い訳です。

12:50 駐車地着。
思ったより行動時間が短くて済みました。こりゃピストンでも構いませんね。
そして駐車地は車だらけ。墓地の中にまで停めています。いやそれどころか細い山道も延々と路駐車の列。ええっ、下の集落の道路も片側を塞いで路駐しています。こりゃ迷惑極まっています。ちょっと非常識。そりゃあれだけの人がいたのですからこれくらい車も停まっているでしょう。

帰りIさんから聞いていた【あじさいの湯】に寄ろうと思っていました。
いなべ総合病院の隣と聞いていたのでもっと南の方だろうと思い国道に出てコンビニの駐車場でナビで検索。あじさいの湯では見つかりません。近隣の温泉で検索すると【阿下喜温泉あじさいの里】がヒット。地図上で見るとかなり北側で孫太尾根の駐車地より西藤原寄りです。「しまった、出発前にセットすれば良かった。」
引き返すのも面倒なので今日は我家の【水道水温泉たんぼの湯】。
帰宅前にマザーハーツでケーキを買って。なんたって今日はホワイトデイですから。


2021年03月15日10時20分00秒 記



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